浮かれて行動するその前に、マナーやモラルを考えよう

ハーレムオブパイレーツ

物凄い苦い経験をしたことがある。

電車の中でうつらうつら眠ってしまった時だった。

いつの間にか、自分とは異なる色のスマートフォンが顔の目の前にあって、カシャッと聞きなれた音が鳴ったのだ。

その後で、「とっちゃった~」という女性独特の高めの声が聞こえた。

さすがに状況を把握できたときには眠気など吹っ飛び、驚きのあまり焦りも半端なかった。思わず、違うものと分かっていながら自分のスマホを鞄の中でまさぐって確認しようとしたほどだから。

どうりで誰かが近づいている気配はあったし、うつらうつらながらも、携帯と共に女性の髪や手と思われるものも視界に映っていた。

それから少しの間、視線を感じたりクスクスと例の声の主が発したものと思われる声が聞こえてきたので、あのスマホの主がどの乗客なのかが分かり、今でもその顔はよく覚えている。

こういうときは駅員に突き出すべきだろうか、文句をつけてやるべきだろうか、とも考えたがそれはしなかった。会話を聞いてみると彼女達は小中学生のようだった。つまり、大事にすれば幼い彼女達の状況や将来をこの手で左右しかねない。そのように考えると相手にするのが非常に面倒くさくなった。

とはいえ、これは盗撮である。明らかな迷惑行為である。こんなことをされたと分かっていながら何もしないのもシャクである。

一人の大人として、当時の自分は勇気を振り絞ってしかるべき対応をするべきだったかもしれない。しかし、それもしなかった今では、この場で呼びかけておくことにした。

勝手に撮影された筆者にも原因はあったかもしれない。どんな顔で眠っていたかも分からない、田舎娘から見れば筆者のようなバンドマンファッションは物珍しかったのかもしれない。他にも、人様から見た自分がどうなど分かりやしない以上、他人から映った自分を知ったかすることもできないので出来ればこの点はノーコメントを貫きたいところ。

だからといって、これはれっきとした犯罪行為である。どう考えても若気の至りで許されるものではないだろう。

と、このようなことを言うと、一部の人間はされた側の非を唱えるものだが、それはそれで別問題なはず。

そもそも、筆者以外にも乗客はおり、その人達にとっても「自分も撮られるかもしれない」という恐怖はある。

にもかかわらず、誰も何も言わないのは関わり合いになるのが面倒だからであって、決してその行動を許しているわけではない。筆者を盗撮した彼女達も、その立場になれば迷惑を思うかもしれない。

恐ろしいことを言うならば、された側が顔を覚えてしまった以上、気が向けば復讐を企んでしまい刑事的問題に発展しかねない。

このように子供が無知にも加害者となるケースもあるから、安易に携帯やカメラなどの便利アイテムを子供に持たせてはならないと言われてしまうのも分かる。保護者も、大人になるまで取り上げることで安心感を得たくなる心情もお察ししたいところ。

しかし残念ながら、そんなことをしたところで、携帯やカメラに限らず便利な物というのは今のご時世では数え切れない程あるものだ。ただただ規制しているばかりではきりがない。

誰が使うかではなく、その使用目的と場所をわきまえないから問題が起きるのである。

他人の迷惑にならないか、何といってもあの彼女達に最も欠けていたのはそこだろう。悪酔いした大人もこのようなケースに陥り、知らずに加害者になって警察のお世話になっていたなんてこともあること。

いずれにしても、マナーやモラルが欠けた結果、引き起こしてしまうアクシデントは無数だと考えていい。

深刻な書き方をしてしまったが、一度、自分に「待った」をかけてやることをすればいいのである。簡単かと言われれば時と場合によりけりで、なかなか難しいものはある。

むしろ、その考えを否定して、都合の良いマインドを押し付けて楽しんだり利用している人間も至るところにいるのだから大変なものだ。

だが、これをすることで自分はどうなるのか、周りはどんな反応をするだろう、そもそも得することなどあるのか、他にも立ち止まって考えるべきことはあるはずだ。

そう考えていくと、暴走した自分に待ったをかけてくれる仲間がいるものならもっとありがたいことだろう。筆者にはあまりそういった人との関わりがなく、あのときの彼女達を勝手に汲み取り可哀相に思ってしまったところはあるかもしれない。